オンサイト、成功と失敗の狭間

最後のボルトでクリップした。ヌメヌメで、足を何度もツリツリさせながらも、なんとか7p目まで落ちずにやってきた。終了点まで残り約5m。ランナウトしている。あと少しでオンサイトだ。前腕には余裕がある。迷わなければいけるだろう。ラインの目処をつけて動き出す。ホールドを探りながら一手づつ進む。次のホールドはかなり左より、胸の高さに終了点のテラスがある。多分、この少し右に傾いたホールドを右手で保持して、胸の高さのテラスへ乗り込むのだろう。バランスはあまりよくない。ホールドは湿っぽくて、いかにもスッポ抜けそうな感じだ。最後のボルトは、既に足下2m。ここで落ちると、6mは軽く飛ぶだろう。6m下には何があったっけ?さっきレストした小テラスあたりかなぁ。岩が立体的にでこぼこしてたなぁ。落ちるとなると変な体勢で落ちそうだ。恐い。だけど、あとワンムーブでオンサイト。勝利と敗北、そして大フォールに怪我の危険。一瞬の間に葛藤する。こんなシチュエーションで突っ込めますか?

レストポイントで休めちゃったのでアドレナリンが引っ込んでしまったのでしょうか。私は突っ込めませんでした。絶好の11cマスターオンサイトのチャンスを自らつぶしました。次の便では問題なくRP。オンサイトトライでやろうとしたムーブはあっていました。オンサイトと2撃のギャップは大きいです。メンタルコントロールとリスクマネージメント。オンサイトに向いている性格の人と向いていない人がいると思います。そして恐がりな私は安全サイドへ振り過ぎてしまい、恐怖心を乗り越えられません。だから、オンサイトが極めて少ないです。12台になると、最初からオンサイトなんてあきらめているから、テンションしながらのムーブ探りになるので、どちらかと言えば、トップアウトできるか否か、ムーブが見つかるかどうかの不安の方が大きくなりますが、各セクションごとハングドックしてじっくり考えることができます。かえって、10台後半や11台の初見トライの方が緊張します。一応最高オンサイトグレードは11cですが、超お買い得ルートでした。私のような恐がりが11台をオンサイトするには、もっともっと力の余裕がないと難しいようです。

きん
Commented by よねひこ at 2009-08-05 14:47 x
ホントに。特に岩場でオンサイトするには力と状況判断に余裕が要りますね。突っ込むだけでオンサイトなんかしていたら遅かれ早かれオダブツですよね。まあ無理はしてはイケマセン。
昨日の佐久「イエローキャット」、オンサイトの後ヌンチャク回収で再度登ったら、「ああ、ここにもいいホールドあったんだ」「さっきあんなデッドしなくてもこうやって行けたんだ」といろいろ気づくことありました。それでもいけたのは、少し余裕があったのと、運も良かったのでしょう。(特にある箇所ではチョーク跡にギリギリ助けられたところありましたから。)
しかし1便目探って2便目でRPするのは何か「あたりまえ」。オンサイトできた感激は大きかったです。
外岩で11cは、まだマグレでもオンサイトしてないなあ。やってみたい!
Commented by Climber-Kin at 2009-08-05 16:54
よねひこさん、コメントありがとうございます。突っ込んでいたら、オンサイトできたかもとわかると、悔しいというか自分が少し情けない思いがしました。まぁ、あの状況では、私には絶対に突っ込めないということは納得してはいるのですが。オンサイトの充実感は格別ですからねぇ。もっと、もっと強くなりましょう。
by Climber-Kin | 2009-08-05 12:56 | クライミングの研究 | Comments(2)

 弱いわりには頑張っている、還暦を迎えた初老クライマー。体力と気力の衰えを感じながらも、13を10本!を登りたいなぁ。12以上100本も達成したいな。を目標にがんばっている日々を綴るクライミング日記。でも、最近はハイキングと沢登りばかりです。


by ヘビークライマーきん