強いクライマーになるには?

強いクライマーになりたい。だけど、強さとはなんだろう。トレーニングの種類とかルートの種類とかで、考えやすくするために、持久系とか瞬発系とか、よく大別されて使われるが、もう少し粒度がほしい。Wekipediaに筋力トレーニングとして少し解説され始められていたので、参照してみた。それぞれの単語がクライマーにはあまりしっくりこないの、自分なり解釈を以下のように入れて考えてみました。

筋力の出力(強さ)=筋肥大×神経発達(%)×瞬発力

○ 筋肥大
筋肉量のことで、筋肉の断面積が大きいほど絶対筋力は高くなる。

○ 神経発達
筋動員数のことで、収縮させたい筋肉のうちどれだけ、同時に動かせるか(動員できる)ということで、トレーニングにより、この筋動員数を向上させることが可能である。キャンパシングはその典型的なトレーニング方法である。また、筋肉を太らせずに(体重増加をさせないで)、最大パワーを向上させる意味でクライマーには非常に重要な要素だ。

○ 瞬発力
最大筋力と誤解されやすいが、筋肉が収縮するスピードである。筋肉の収縮を運動エネルギーへ変える。スピードが速いほど、運動エネルギーは高くなる。力によって動きを生み出す場合には、非常に重要な要素となる。エネルギー=スピードなのである。デッドムーブなどの両手保持の状態から片手にデッド(無重力時間)を作りだす場合や両手保持から動的に遠いホールドを取る場合に重要な要素となると思う。また、保持力には、瞬発力のような筋肉のスピードは関係ないように思えるが、次の握ったホールドを保持する、所謂コンタクトストレングスは、すばやく筋肉を収縮させてパワーをホールドへ伝えるという見方をすると、ある意味瞬発力なのかもしれない。

さらに、時間軸の概念を取り入れると、以下になる。しかし、クライミングの場合は、レストポイントや核心があるように、終始パワーがかかりっきりではないので、この式を適応させるのは難しい。同一のシーケンスの中だけでの限定として考えると理解できるかもしれない。

ポテンシャル(筋力の出力)=筋肥大×神経発達(%)×瞬発力×持久力

「筋力トレーニングとは、筋肥大によって絶対的な力を増し、神経発達によってその筋肉の動員量を増し、瞬発力によって発揮する速度を増して、その筋力を持続させる力を増す事である。」とある。まさに、その通りであろう。ヘビー系クライマーが、この要素の中で注目したいのは瞬発力(筋肉の収縮スピード)である。強いクライマーは瞬発力が高い傾向にあるのではないだろうかと何となく思うのである。他のスポーツにおいても、この瞬発力がそのスポーツのパフォーマンスに非常に大きなウェイトを占めているスポーツが多い。筋肉量や筋動員数はトレーニングによって、それなりに向上し、それほど差はないように思うのだ。となると、差がでるのはこの瞬発力に他ならないと思うのだ。一ついい加えるが、体質的に瞬発力が少ない人は多分体重も軽いだろう。その場合は、最大筋力と持久力を高め、バランスの中でムーブを起す登りを目指し、そのようなムーブにあわせてコーディネーション能力を鍛えることで強いクライマーになれるのだと思う。そして、ついついわかりやすい筋力に注目してしまうのだが、クライミングはとても複雑で、コーディネーション能力やテクニカルな技術によって、持久力とかもっと力のいらないムーブとかを考え出して、実践しているわけなのだが。わかりやすい筋力について整理してみて、もう一方で思うのは、筋肉が多い人/少ない人、筋肉のスピードが速い人/遅い人、筋持久力の高い人/低い人。さらに筋肉のバランスでは速筋の割合が多い人/遅筋の割合が多い人。筋肉の質と瞬発力とは深い関係があるだろう。そして、重い人/軽い人。全ての要素を高めるのは理想的なのだが、我々は、それぞれ個性を持っているわけで、それは難しいし、現実的であるとはあまり思えない。それぞれの体質や個性にあった動作があり、その特徴を生かしたクライミングを目指すべきではないだろうかと思う。ワールドカップのコンペクライマーを目指すのなら全ての要素を高める必要があるだろう。もし、全ての要素を持ち合わせていないのなら、残念ながら、あきらめた方がよいだろう。頂点を目指す人は恵まれた人のみなのだと思う。多くのクライマー、我々は自分なりの目的と目標を持ってクライミングを楽しみ、切磋琢磨することに喜びを感じていると思う。話を戻すが、誰も彼もが同じトレーニングが適しているわけではないし、最適な上達へのアプローチが同じであるはずもないだろうと思うのだ。スタティックな動きが得意な人。ダイナミックな動きが得意な人。フリのムーブが好きな人。正対でデッドをフル活用して登る人。速く登る人。ゆっくり登る人。ある人からみると、それは効率がよいムーブには見えないであろう。また、効率のよい登り方には見えないことがあると思う。しかし、本人にとっては、それが一番やりやすく、省エネであったりするわけだ。強いクライマーとは、人それぞれによって、形が異なるのだろう。そして自分のパフォーマンスを上げるには、そして、強いクライマーになるには、自分にあった登り方を見つけ、そのためのトレーニングとアプローチを考えて実践することが必要なのだと思う。そして、強いクライマーになるには、筋力だけではダメなのだ。効率的にパワーを引き出す動きや連動。コーディネーション能力(しなやかさ)。テクニカルな要素に加え、戦略も必要だ。クライミングは奥が深い。

きん
by Climber-Kin | 2009-10-27 21:00 | クライミングの研究 | Comments(0)
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