ヘビークライマー”きん”のクライミング日記

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2013年 01月 25日

強いクライマーになるには(8)?

「我々は脳にだまされている!」

- ノークスの理論、スタンフォードの自分を変える教室より -

 こんな本読んでますとFacebookに上げていましたが、まだ完読はしていません。まだ第2章ですが、非常に興味深い内容がありました。この本はスタンフォード大学の公開授業の内容を本にしています。各授業は、この本では各章になります。各章ごとに様々な事例やケーススタディを最新の脳科学をもとに、何故そうなるのかを説明し、それを乗り越える方法を述べていたりしています。だから、章ごとに各自の課題を決めて目標を定め実験し、報告してくださいと言っています。それで、私は、クライミングに当てはめて考えてみました。そのおもしろい内容とは、試合やトレーニングで筋肉への負荷を長時間かけていくと我々は疲労を感じて不快になってきます。限界に達したと感じ、もうダメだと思う時のことです。それは、実は肉体的な限界なのではなく、脳がこれ以上継続することに危険を感じて、運動をやめさせよう。余力はまだ残っているにもかかわらず、もう限界だよと我々をだましているのだという理論です。この本ではトライアスロンでの試合を例にしていますが、クライミングではどうでしょう? 我々も、持久力系ルートでは、ムーブ解析フェーズが終わり、RPトライフェーズに入ります。トライを開始し高度を上げていくと、筋肉に疲労を感じてきます。どんどん、筋肉がよれてくると感じます。そして、ルートの半ばにして、もうダメだと感じて、力の入っていない一手を出して、当然のようにフォールします。こんなトライを繰り返していないでしょうか。それは、もしかしたら脳にだまされているのかもしれません。まだ余力があるのに、脳がもう余力がないように感じさせているのです。真剣勝負、登れるか否かは全て自分次第。これまで、そんなRPトライを何千回とやってきていますが、落ちてきては、本当に今の登りは自分の限界だったのだろうか?もっと力を出せたのではないだろうか。そんな風に思いかえしたことが数えきれないぐらいあります。そんな経験をもとに、私は、たまに、いつも落とされる核心セクションでは、何も考えない。感じない。決められた手順を観の目の境地で機械のようにこなす。そんな作戦で完登できたことがたまにありました。もしかしたら、これも脳にだまされない、一つのアプローチだったのかもしれません。また、これぞというところで声を出すのも、脳が作り出す、この仮想限界を超える一つのアプローチと解釈できるわけです。そして、この本では、脳にだまされていても、意志の力でそれを乗り越えることができると書かれています。この意志力は筋肉と同じで消耗してしまうそうです。この意志力を上げるためにどうすればよいか、その例がこの本で延べられています。

 フィジカルなトレーニングにより、筋肉肥大と筋動員量を増やしていき最大筋力や乳酸LT値を上げたり、毛細血管を発達させて速筋の持久力を上げようとしているのですが、それには限界があるのでしょう。常日頃からジムやルートで筋肉に刺激を与えていて、もう何年も継続しているとしたら、フィジカルなケーパビリティの限界あたりなのかもしれません。だけど、実は、脳にだまされてフィジカルな限界まで力を出していないのかもしれないのです。観点を変えて見ると、持久力トレーニングとは、脳がだまそうとしている仮想限界を押し上げるレーニングなのかもしれません。また、脳からのストレスに慣れること、脳の戦略に逆らって乗り越えられるようにすることが、もう一つの目的なのかもしれません。持久力トレーニングとは意志力のトレーニングなのかもしれません。本当のフィジカルな限界まで引き出す。それも持久力の要素の一つなのでしょう。そして、この本では、意志力によりそれを乗り越えることができると言ってます。強いクライマーになるには? 勝負強いクライマーになるには? それは、「脳にだまされるな!」なのかもしれません。

 付け加えますが、これは持久力における余力の話であって、ムーブにおけるフィジカルな最大筋力の限界を超えてしまう場合はリスクを伴います。その限界を超えるととどうなるか?それは私が今回の肉離れで証明しました。くずれたバランスや正しくないムーブで無理やり登ろうとした結果です。終了点直前で、RP(太古で言えば獲物ですね)という成果を目の前にドーパミンが溢れ、限界を越えた力を出してしまったのでしょう。そして、短絡的な行動(ムーブ)でした。右手を返せば無事終了していたはずなのに、目の前に見える左手ホールドを左足ヒールフックの引き付け力だけで取りに行こうとしました。このような状態だと、非常に単純な衝動的な行動を選択してしまうのです。冷静さがなくなっていましたね。あー、あの時、右手返していれば!チキチー! この本によれば、これは、目の前の獲物を得るための原始的な脳のメカニズムによる行動だったと説明できます(苦笑)。

きん

by Climber-Kin | 2013-01-25 19:28 | クライミングの研究 | Comments(0)


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